皮膚の基礎

1.皮膚(肌)とは

皮膚の表面をよく見てみると、大小の細かい溝が網目状に交差していることがわかります。この溝は「皮溝(ひこう)」とよびます。また、皮溝に囲まれて、ひし形や四角形に皮膚が高くなっている部分を「皮丘(ひきゅう)」とよびます。皮溝と皮丘の形がキレイに整っており、水分が保たれていると、「キメの細かいキレイな肌」と表現されるのです。

皮膚(肌)

皮膚は、「人体最大の臓器」と言われています。その厚さは平均約2mm。成人では、皮膚全体を一枚に広げると約1.6㎡(畳1枚くらい)の面積があり、重さは体重の約16%に及びます。
皮膚の役割は、人体を覆い、体を正常な状態に保つことです。
具体的には次のような働きがあります。

  • バリア機能

    体の内と外を分け、外部からの刺激(紫外線、乾燥、ほこりなど)から体内の水分や諸器官を守る。
  • 分泌・排出機能

    皮脂や汗を分泌して老廃物を排出する。
  • 経皮吸収機能

    表皮や毛穴を通して外界から薬剤などを吸収する。
  • 体温調節機能

    外部の温度を伝わりにくくすると同時に、体温を一定に保つよう調節する。
  • 感覚機能

    複数の感覚器が、触・圧・痛・温・冷などの外界の刺激を脳に伝える。
  • 免疫機能

    侵入した異物や細菌などを排除して体を守る。
肌組織

皮膚は、大きく分けて 「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層の構造からなります。その中に「血管」「リンパ管」や神経系、「皮脂腺」「汗腺」などの付属器があり、それぞれが関わりあいながら機能しています。
それでは、「表皮」のしくみから見ていきましょう。

2.表皮の構造

表皮は、厚さが平均0.2mmのとても薄い膜です。皮膚のいちばん外側にあり、外部からの異物の侵入や体の水分の蒸発を防ぐバリアとなって内部を保護しています。外側から、「角層(かくそう)」 「顆粒層(かりゅうそう)」 「有棘層(ゆうきょくそう)」 「基底層(きていそう)」 の4つの層から成っており、その大部分を「ケラチノサイト(角化細胞)」とよばれる表皮細胞と、それが変化した細胞が占めています。

表皮の構造
  • 【 角層 】
    細胞は角質細胞となり、7〜50層の角層を形成します。バリア機能と保湿機能という大切な役目を果たし、最後はアカとなって剝がれ落ちます。

    顔は10層以下の細胞からできており、角層の厚さはわずか0.001mmです。
    [部位別の細胞層数]
    まぶた:7層|頬部:10層|体と四肢:14層
    手掌と足底:50層 ※個人差があります
  • 【 顆粒層 】
    2〜3層の細胞からなる薄い層です。細胞間脂質や天然保湿因子など、肌の潤い成分のもととなるものが細胞内に蓄えられてきます。
  • 【 有棘層 】
    5~10層の細胞で構成されており、表皮の大半を占めています。細胞同士の接着部分が棘のように見えることから、有棘層と呼ばれています。
  • 【 基底層 】
    表皮のもっとも深いところになる層で、基底細胞が1層に並んでいます。基底細胞は約19日かけて細胞分裂し、新しい細胞が生まれます。

一番下の基底層から新しい細胞が生まれ、14日間かけて細胞を上に押し上げるように「新陳代謝」を繰り返します。最後に角層となって、バリア機能と保湿機能という大切な役目を14日間果たした後、アカとなって体から落ちていきます。
これらの皮膚の生まれ変わりを「ターンオーバー」とよびます。
また、14日+14日の28日間がターンオーバーの最適な日数と考えられています。

表皮
【 角層のバリア機能と保湿機能について 】
角層は、角質細胞の層と「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」から成ります。

[皮脂]
毛包に付属する皮脂腺から分泌され、皮膚表面に弱酸性の皮脂膜
を形成することで、外的刺激から肌を守り水分を保持しています。

[細胞間脂質]
角層の細胞と細胞の間を埋める脂質で、50%をセラミドが占めています。

[天然保湿因子]
アミノ酸・ミネラル等から成り、角質細胞内に存在します。

これらが角層にしっかり存在し、外的刺激からの防御と保湿機能が働くことこそ、
皮膚の美しさを決める重要な要素なのです。
角層のバリア機能と保湿機能
基底層

表皮には、その他の細胞もあります。
基底層には「メラノサイト(色素細胞)」があり、「メラニン」を作っています。メラニンといえば「シミ」の原因と考えてしまいがちですが、メラニンは紫外線から皮膚を守るために重要な色素なのです。メラノサイトの数は、背中や胸に比べ、顔に多く存在しています。

3.真皮の構造

真皮は、表皮の約10倍、平均で約2mmの厚さがあります。表皮の内側にあり、皮膚を支えて弾力を維持する重要な役割を担っています。
「コラーゲン線維(せんい)」 「エラスチン線維」 「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」から成る丈夫な線維構造で、これらのまわりを埋めつくすように、「基質」とよばれる「ヒアルロン酸」などのゼリー状物質が水分を抱えながら存在しています。コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンが真皮に十分存在することで、ハリや弾力、潤いを保つことができます。

真皮の構造
  • 【 コラーゲン線維 】
    膠原線維(こうげんせんい)ともよばれます。
    タンパク質の細かい線維が束になってできたもので、真皮の70%を占めています。
    縦に伸びにくい強靭な線維です。
  • 【 エラスチン線維 】
    弾性線維(だんせいせんい)ともよばれます。
    ゴムのような弾力に富む線維で、コラーゲンとともに皮膚の弾力を生み出しています。
  • 【 線維芽細胞 】
    コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを生産する細胞。さまざまなホルモンが、その活動に関与しています。
  • 真皮を鉄筋のビルに例えると・・・
    コラーゲン:鉄骨
    エラスチン:鉄骨を留めているボルトやネジ
    ヒアルロン酸など(基質):まわりのセメント

    ボルトやネジはわずかな重量ですが、緩むと全体の骨格が崩れます。
    美容の世界ではコラーゲンが重要視されますが、肌のハリには、エラスチンも重要なのです。

また、真皮の浅層には毛細血管が集まっており、表皮に酸素と栄養を絶えず送りこんでいます。それによって、基底層で盛んな細胞分裂が行われるのです。
栄養が血管によって運ばれるわけですから、私たちの皮膚にとって外からだけのお手入れだけではなく、体の内から適切な栄養を皮膚に運ぶことが大切であると言えます。

4.皮下組織の構造

皮下組織は大部分が「皮下脂肪」で、約10ミリ以上の厚さがあります。皮膚の3層構造の中でもっとも内側にある組織で、表皮と真皮を支えています。
皮下脂肪には「動脈」や「静脈」が通っており、血液の流れとともに皮膚組織に栄養を届けたり、老廃物を運び出したりしています。

皮下組織の構造
  • 【 汗腺 】
    汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」があり、程よい汗の分泌は皮膚にうるおいを与えます。全身に分布するのがエクリン汗腺で、アポクリン汗腺の方はわきの下や、乳輪、陰部に分布しています。

また、皮下脂肪は外部からの刺激や衝撃をやわらげるクッションのような役割や、断熱・保温の働きをしたり、エネルギーを脂肪として蓄えるなど、体を守る大切な働きを担っています。